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設計者CAEの活用によるフロントローディングの実現

設計者CAEを活用するメリット ~フロントローディングの推進~

製品開発の現場では、設計品質の向上や開発期間の短縮、コスト削減が常に求められています。その中で近年注目されているのが「フロントローディング」の考え方です。フロントローディングとは、開発プロセスの初期段階で設計上の課題や問題点を洗い出し、早期に対策を講じることで、後工程での手戻りやコスト増大を防ぐ手法です。

従来、CAEComputer Aided Engineering)は解析専任者が利用する高度なツールというイメージが強く、設計者が日常的に活用するにはハードルが高いものでした。しかし、近年は設計者自身が使いやすい「設計者CAE」が登場し、設計段階でのシミュレーション活用が現実的になっています。

※ 設計者CAEに関しては、下記ブログにて詳しく解説しています。
設計者CAEが業務を圧迫する要因とは?余裕を生む活用方法を解説
設計者CAE普及の理由を解説!製品開発期間の短縮に有効活用される要因とは?

設計者CAEを活用することで、以下のようなメリットが得られます。

  • 設計初期段階での性能・品質評価が可能
    形状や材料を決定する前に、構造強度や流体挙動、熱伝導などのシミュレーションを実施できるため、設計の妥当性を早期に確認できます。

  • 手戻りの大幅削減
    後工程での不具合発見による設計修正や再試作のリスクを低減し、開発期間の短縮とコスト削減を実現します。

  • 設計案の最適化
    複数案の比較やパラメータスタディ、最適化解析を設計者自身が行えるため、より高性能・高品質な製品設計が可能となります。

  • コミュニケーションの円滑化
    シミュレーション結果をもとに、設計意図や課題を関係者と共有しやすくなり、意思決定の迅速化に寄与します。

このように設計者CAEの活用は、フロントローディングの実現に直結し、製品開発の競争力強化に大きく貢献します。

設計者CAEに求められる要件

設計者が日常業務の中でCAEを活用するためには、従来の解析専任者向けCAEとは異なる要件が求められます。主なポイントは以下の通りです。

  1. 操作性・使いやすさ

設計者はCAD操作に慣れていても、CAEの専門知識や複雑な前処理・後処理には不慣れな場合が多いです。そのため、直感的な操作性やCADとのシームレスな連携、分かりやすいインターフェースが重要です。

  1. 設計プロセスへの組み込みやすさ

設計業務の流れを妨げず、CADデータからスムーズに解析へ移行できることが求められます。設計変更が発生した際も、迅速に再解析できる柔軟性が必要です。

  1. 適切な解析精度と計算速度

設計段階では「おおよその傾向を素早く把握したい」というニーズが強いため、過度な高精度よりも、短時間で結果が得られるバランスが重要です。

  1. 多様な設計シーンへの対応

構造解析、流体解析、熱解析、最適化など、設計者が直面するさまざまな課題に対応できることが望まれます。

  1. 結果の分かりやすさ

解析結果がグラフィカルに表示され、設計意図や課題が直感的に把握できることが、設計者の意思決定をサポートします。

設計者CAEプロダクト紹介

ここでは、電通総研が取り扱う設計者のフロントローディングを強力に支援する5つのプロダクトをご紹介します。

NX Performance Predictor(Siemens) 

製品紹介ページ

NX Performance Predictorは、NX CAD環境に統合された設計者向けの構造解析ツールです。設計者がCADモデルを作成しながら、直感的な操作で構造強度や変形、応力分布などのシミュレーションを実施できます。

【特長】

  • NX CADと完全統合されており、設計変更にも即座に対応
  • 解析の専門知識がなくても使えるシンプルな操作性
  • 設計初期段階での構造性能評価が可能
  • 結果はグラフィカルに表示され、設計意図の確認や関係者との共有が容易

設計者が自ら構造解析を行うことで、設計の妥当性を早期に確認し、手戻りの削減や設計品質の向上を実現します。

図1. NX Performance Predictorの特長

Altair SimSolid(Altair)

製品紹介ページ

Altair SimSolidは、メッシュレスの設計者向け解析ツールです。
メッシュに関する知識が不要なため、習得が容易です。
また複雑で大規模なアセンブリの形状を高速にシミュレーションできます。

【特長】

  • メッシュ起因のエラー対応が不要
  • CADモデルをそのまま解析に使用することが可能
  • 線形静解析、非線形静解析、固有値・振動解析、熱解析、熱-構造連成解析など幅広い解析領域に対応
  • 超高速計算アルゴリズムによって、複雑・大規模アセンブリでも数分で計算が完了

SimSolid活用事例イメージ

動画コンテンツのご紹介

どちらも登録無料。設計現場の責任者・CAE 推進リーダー必見のコンテンツです。

Apex(MSC/Hexagon)

製品紹介ページ

 MSC Apexは、プリ/ポスト/ソルバーを一つに統合した設計開発プラットフォームです。CADデータの直感的な修正が可能な「ダイレクトモデリング機能」とメッシングから結果処理までをシームレスに実行できる「統合CAE環境」によって、設計変更に伴う解析の大幅なコスト削減が可能です。

【特長】

  • 専門用語を避けた表記とアニメーション付き操作ガイドにより、新規ユーザーに易しいGUIを実現。
  • ダイレクトモデリング機能によって、メッシュを確認しながら形状の修正が可能。
  • 部品の入れ替え時にメッシュや材料、境界条件を引き継ぐことで即座に再解析が可能。
  • MSC Nastranの解析領域をカバー(線形および非線形静解析/固有値解析/応答解析)

Apex活用イメージ

NX Topology Optimizer(Siemens)

NX Topology Optimizerは、設計者が位相(トポロジー)最適化を手軽に実施できるツールです。設計空間や荷重条件、拘束条件を設定するだけで、最適形状を計算できます。

【特長】

  • NX CAD環境内でシームレスに最適化解析を実施
  • 設計者が直感的に使えるインターフェース
  • 軽量化や高剛性化など、設計目標に応じた最適形状を自動生成
  • 最適化結果をそのままCADモデルに反映

NX Topology Optimizerの活用により、設計初期段階から最適化を意識した設計が可能となり、製品性能の最大化や材料コストの削減に貢献します。

NX Topology Optimizerの特長

NX CFD Designer(Siemens)

製品紹介ページ

NX CFD Designerは、NX CAD環境に統合された流体解析ツールで、Simcenter FLOEFDの定常解析機能を搭載しています。設計者がCADモデル上で直接、流体の流れや熱伝導のシミュレーションを簡易に行うことができます。

【特長】

  • CADモデルから直接流体解析を実施、前処理の手間を大幅削減
  • 直感的な操作で流速分布、圧力分布、温度分布などを可視化
  • 設計変更時も迅速に再解析が可能
  • 熱設計や冷却設計、流路設計など幅広い設計シーンに対応

設計段階で流体や熱の課題を早期に把握し、最適な設計案を導き出すことができます。

NX CFD Designerの特長

以上、設計者CAEを実現する代表的な5つのプロダクトについてご紹介しました。

体験Webセミナー開催中

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