ブログ

INCOSE 35th Annual International Symposium参加報告

はじめに

今年もINCOSE IS(International Council on Systems Engineering International Symposium)の季節となりました。(INCOSEおよびISについてはこちらのブログを参照ください。)今年のINCOSE ISはカナダの首都、オタワで7月26日から7月31日にかけて開催されました。電通総研は今年も昨年と同じくシルバースポンサーとして協賛しており、さらに今年は初めてブースを出展しました。筆者も昨年同様に現地参加してきましたので、その様子をお伝えしたいと思います。

カナダの首都:オタワ

INCOSE ISの概要

INCOSE ISはカナダの首都、オタワのRogers Centreで開催されました。オタワまでは日本から乗り換え含めて約十五時間、Rogers Centreはオタワ空港からタクシーで三十分程度の場所にあります。この時期のオタワは夏ですが日本ほど高温多湿ではないため過ごしやすく、夜には肌寒さを感じるほどでした。

INCOSE IS会場:Rogers Centre(手前右の建物)

今回のINCOSE ISの会場であるRogers Centreは、首都オタワのダウンタウン中心部にあります。ホテルや商業施設、オタワ市庁舎、連邦政府庁舎が近くにあり、非常に利便性の高い場所に位置していると感じました。INCOSE ISはRogers Centreの二階と三階で開催されました。展示ホールも広く、セッションの開催されるセミナールームも豊富にあり素晴らしい会場でした。

7月26日と27日はチュートリアル、7月28日から7月31日は一般セッションとなっています。チュートリアルは講師がテーマに沿った内容の講義を行う形式です。聴講するだけでなく受講者がツールを実際に使用しながら受講するセッションもありました。一般セッションは発表者がシステムズエンジニアリングに関連した発表を行い、発表後に聴講者が質問をする形式です。ほぼすべてのセッションで活発な質疑が行われていました。

INCOSE IS のトピック

さてここからはINCOSE ISでの受講及び聴講内容とトピックをお伝えします。

チュートリアルでは、筆者はSysMLv2のチュートリアルとLLM(Large Language Models)に関するチュートリアルを受講しました。SysMLv2のチュートリアルでは開発メンバーの方が、ダイアグラムとテキストを比較しながらSysMLv2の特徴やv1.xとの違いなどを説明されていました。実際にツールを使ってモデリングも行うことができSysMLv2についての理解を深めることができたと感じています。(SysMLv2についてはこちらのブログを参照ください。)またLLMのチュートリアルでは、講師が用意したLLMを実際に使用しながら、LLMでどのようなことができるのか確認しながら進めていました。どちらも実際の操作を通じてAIおよびLLMについて理解を深める工夫がされており、参加者も多く、熱量も高く、注目されている分野であると感じられました。

一般セッションでもやはりAI関連やSysMLv2関連の発表が多いと感じられました。SysMLv2もAIも今まさに着目されている分野であり、この二つを組み合わせた発表も今後増えていくと感じられます。その他には、グラフDBを活用したセッションや、データの抽出、表示に関するセッションも増えてきている印象を受けました。CATIA Magicなどのツールを使用してシステムモデルを作成しデータを蓄積することには多くの企業が取り組み始めておりますが、まだそのデータを十分に生かしきれていないと感じます。作成したシステムモデルをグラフDBに変換する、グラフDBのビューワーを使用して情報を提示する、BIツールを活用してシステムモデルから情報を抽出するといったセッションが増えてきており、システムモデルを構築するだけでなく、その有効活用にも多くの企業が取り組み始めていると感じました。

セッションと並ぶトピックとして、ブース展示があります。ブース出展では昨年のINCOSE ISでは見なかった企業が増えていると感じました。AI関連やツール連携関連のソリューション、新しいMBSEツールを紹介しているベンチャー企業なども出展されていました。AI関連やツール連携は今後もホットな分野になるのだろうと、改めて感じました。

電通総研ブース

今回のINCOSE ISでは電通総研もブースを出展しiQUAVISを紹介しました。日本発のツールとして多くの方に興味を持っていただき、ブース来訪者の方からはiQUAVISに対する質疑や問い合わせを多くいただきました。またコラボレーションに関するお問い合わせも多く受けており、こちらも高い熱量を感じました。電通総研は昨年同様スポンサーセッションでも発表しています。今年は「The All-in-One AI-Powered Solution for MBSE and Project Management 」というタイトルで発表しましたが、こちらも好評で昨年の倍以上の人数の方に聴講いただきました。iQUAVISは様々なツールとの連携を検討しており、まだコンセプト段階ですがAIの実装も検討しています。今後、モデル生成の負荷削減、エキスパート知見の活用促進、ユーザーの使い勝手改善に生成AIを活用することを考えております。またこれらの活用ユースケースは一例にすぎません。生成AIの活用ユースケースは、技術の進化やお客様ニーズの増加と共に膨らんでいきますので今後もAI活用ソリューションを継続的に進化させていく予定です。iQUAVISの海外展開とともに、こちらもぜひご期待下さい。

スポンサーセッションの様子

まとめ

いかがでしょう? INCOSE ISの雰囲気が少しでも伝わりましたら幸いです。

INCOSE ISは様々な国のSE/MBSEに関連する企業・団体が一堂に会する場所です。セッションを聴講してSE/MBSEに関する様々な情報を収集するだけでなく、展示会場のブースを回って様々なソリューションの知見を得たり、SE/MBSEに関する同じような悩みを持った方々と意見交換をしたりすることも比較的簡単にできます。そしてなにより参加者の多くの方々が非常に気さくでフレンドリーであり、親交を深めやすいです。この点は何回参加しても変わらない魅力だと感じました。
またブース出展してみての感想ですが、本気でソリューションを探しに来ている参加者、コラボレーションを模索している参加者が非常に多いと感じました。課題解決にMBSEが有効なことは理解できているが、なかなか一社では対応できないーそうした来訪者の力に少しでもなれたら幸いと感じています。

さて次回のINCOSE ISは横浜のパシフィコ横浜で来年の6月13日から6月18日にかけて開催されます。日本開催であり、時期も真夏に入る前ですので、参加しやすいと感じます。SE/MBSEに関しての知見を深めたい、悩みがある、仲間を作りたい、と思っていらっしゃる方は、参加を検討されてみてはいかがでしょうか?


本記事は役に立ちましたか?コメント・問合せも承ります。


ダウンロード資料

用語集