ブログ

成形品質向上のありたい姿とは?「実測情報の活用」編
電通総研が提供する成形品質向上の仕組み紹介(3)

昨年(2024年)より成形品質向上に関しての取り組みについて、紹介を行わせていただいております。

初回で、取り組み全般の概要をご紹介。2回目は、これまで取り組みを行ってきたなかで、広くお役に立てそうなピンポイント情報を取り上げました。3回目の今回も、ピンポイントの情報を取り上げていこうかと思います。

今回のテーマは、実測情報の収集とその分析に関する情報をお伝えしていこうかと思います。

実測情報から得られること

実測データをためていくことでわかってくることは様々あるかと思います。類似部品、類似形状、同一材料などを軸に過去のデータを並べてみると同じような傾向が見えてきたりするものかと思います。

たとえば図1に示すようなソリ傾向について。実測とCAEが合わないという話は常々付きまとってきます。ある程度の部品点数をこなしていくと、変形傾向は一致している。変形量については乖離があるが、ここにも一定の傾向が見て取れる。補正を入れていけば、判断の精度があげられそうだ。

というようなことも考えられます。

図1:実測データから得られた変形傾向例

実測データをためて活用していくことでわかることというのも多々あると考えられます。実測データをためていくうえで、組織的に進めていけば、より加速して品質改善が進んでいくことと思います。

組織的に進めるコツ、蓄積データの標準化

実測データを組織的にためて再利用していくには、図面の品質要求観点だけではなく、成形技術としての要求品質とその因子を記録していくことが望ましいと考えます。図2に示すように、成形技術としての結果(測定できるもの)と入力値(設計要求を狙って決めるもの)の関係性を明らかにして、記録フォーマットを作成していくことをお勧めします。

図2:蓄積データの標準化を進めるための因子分解例

データ蓄積の共通化を進め実行力をあげていくには、業務ルールの改変も必要となってきます。業務ルールを守っていくには、人依存では遂行しきれないことも多くの企業で発生している事象ではないかと思います。昨今はデータ管理の仕組みやワークフローシステムを活用して業務をやりきる強制力として利用されている会社もちらほらと見受けられます。弊社では、PLMシステムと連携するSPDMの仕組み(図3)を活用し最終結果以外の試行錯誤情報を残すプラットフォームとして提供させていただいています。

図3:PLM,SPDMを活用したデータ蓄積の仕組み

本記事は役に立ちましたか?コメント・問合せも承ります。