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MBSE導入における課題とは?
おすすめのITツール「iQUAVIS」と活用例を紹介

今後の製品開発においては、MBSE・システムズエンジニアリングの適用は不可欠と言われています。その背景には、製品の高度化・複雑化に伴って、より高度な技術検討を行うために、組織・個人の担当分野が細分化することによって、全体俯瞰が難しくなってきていることに加え、開発業務のコンカレント化により業務タスク間のすり合わせ頻度が増加していることが挙げられます。ISIDはこうした背景をふまえて、MBSEをはじめとした様々な取り組みやご支援を行ってきました。

しかし、次々と出てくる新たな課題に過去の改善活動やシステムが対応できないなど、過去10年を振り返ってみても、問題や課題が大きく変わっていない印象です。つまり、MBSEを推進したものの、真の課題解決には至っていないと考えられます。このブログは、MBSEを推進するに当たっての課題と解決方針を推進者の目線に立ってご紹介します。

文末にISIDがご提案する実践できるMBSEに関するセミナー「欧州最新事例とサステナブルMBSEの実践方法」をご案内いたしますので、最後までお読みいただければ幸いです。

MBSEを推進する際の課題

手段のはずが目的に

私見ではありますが、業務効率化や負荷軽減、品質向上を目指し、MBSEに取り組む企業はいくつもありますが、その多くは【手段】となるはずのMBSEが【目的】になってしまっているように思います。それには多くの要因がありますが、MBSEに必要なシステムモデル作りやそのためのシステムモデリングツールの使いこなしに意識が集中してしまい、また工数もかかってしまうことが要因の一つと考えます。それにより本来のMBSEの姿であるシステムモデルで検討した結果をもとに課題やリスクをいかに解決するか、プロジェクト全体をどのようにマネジメントしていくかまでを意識することができなくなり、手段であったMBSEが目的にすり替わってしまうのではと推測しています。

手段が目的になってしまいますと、どうしてもゴールや効果を見失うことになり、結果としてMBSEが業務定着しない、仕組みやシステムがアップデートされず陳腐化してしまう、活動が衰弱していくことにつながっているように思います。組織や人材は、トップダウンや新組織の設立、外部への委託等でカバーできますが、手段が目的化してしまわないような対策を打つことが重要です。

ITツール間の連携不足

MBSEを適用するためにはITツールは必須ですが、様々なツールがあり、何が最適であるかの判断は非常に困難です。そのため、どうしても各部門の業務特性に合ったツールを部門ごとの判断で導入してしまい、ツール間はもちろん、情報やプロセスの連携が不足してしまうことがあります。

MBSEは、ツールを使用することで様々な情報を構造化してシステムモデルを構築し、ダイアグラムや表、ツリー図で必要な情報を抽出して表現するものです。多数のツールの存在がMBSE推進の課題であるとは言い切れませんが、それぞれのデータの持ち方、連携が必要であることを考えれば、できるだけシンプルにした方が良いと言えます。

MBSEを実現する「iQUAVIS」導入の3つのメリット

1つのツールでMBSEの活用や課題解決など広範囲をカバーできる

弊社が開発・販売している『iQUAVIS(アイクアビス)』は、MBSEを活用し、目的である課題解決までに必要な下記機能をカバーしているため、ツール間の連携不足解消はもちろん、手段の目的化の抑制にもつながります。

  1. 技術の見える化によるシステム設計(要求分析、機能設計、実現手段検討)の実現
  2. 判断の見える化による品質マネジメント(リスク抽出・対策検討)の実現
  3. 業務の見える化によるプロジェクトマネジメント(開発計画、進捗、リソース管理)の実現

更に、iQUAVISではこれら3つの見える化(技術の見える化、業務の見える化、判断の見える化)を標準機能の範囲で連携させることができますので、情報やデータ、プロセスが分断されることもありませんし、自動的にトレーサビリティの確保が可能となります。

また、iQUAVISはMBSEの実現のみならず、業務遂行の観点でも必要となる他ツールや他システムとの連携インターフェイスを備えています。他ツールや他システムとの連携をできるだけ容易かつシンプルに行うことが、様々な情報を構造化してシステムモデルを構築するMBSEの取組みにおいては重要であり、iQUAVISの連携のしやすさはMBSEの推進において大きなアドバンテージとなります。

本来の目的に集中できる

部門ごとにITツールが乱立してしまうと、どのように連携させるかが重要課題となり、本来すべきMBSEの推進に加え、連携という課題に思考もリソースも多く費やされるようになってしまいます。また、ITツールが異なると、構造化された製品情報も各部門でバラバラとなってしまい、バラバラなものをいかに統一するかに注力しなくてはならない事態になります。しかし、そもそものITツールが共通で使えるものであれば、連携は不要となりますので、部門間をどうつなぐかといったある意味で「無駄な事」を考える必要も無くなります。

ITツールをできるだけ共通化し、さらには広範囲をカバーしているものを選定することで、本来の目的であるMBSEを推進して効果を出す事に目を向けて活動を進める事が可能になります。

簡単で直感的に操作できる

ツールアレルギーという言葉もあるように、新しいITツールは、操作を覚えるのが大変、直観的に使えない等という事は、よく耳にすると思います。MBSEは、色々な部門、業務を跨ぐ取組みであり、携わる人・ツールも多くなりますので、よりユーザーに負担の少ないものが重要です。

※iQUAVIS活用イメージ①実演!システム設計的思想 美味しいカレーの作り方より抜粋

iQUAVISはエクセルやパワーポイントなど、親しみのあるオフィスツールを意識したユーザーインターフェースを持っています。iQUAVISはエクセルやパワーポイントで行っていた情報の構造化や日程管理の大変さに着目し、効率的に簡単に行うことを目指して開発しています。

操作性は文章やイメージキャプチャーではなかなか分かりにくいかと思いますので、ぜひ体験会(無償)にてご確認ください。

iQUAVISによる実際のMBSE適用イメージ

下図はiQUAVISをMBSE・システムズエンジニアリングの流れに適用したものです。

まず技術の見える化(システム設計)です。要求分析の後、機能設計をし、実現手段を検討していく流れです。

iQUAVISは、様々なダイアグラム、要素ブロック図、状態遷移図、機能ブロック図(機能フロー図)などを作成する機能を有しています。それらを活用して検討を進めることで、要求・機能・実現手段を確実に洗い出して明確化することができ、なおかつ、それぞれを連携させていくことができます。技術ばらしツリーはそれらの情報をもとに自動で生成されます。さらに、それらを段階的に詳細化していくことで、影響範囲や背反の把握ができるようになります。

次に、判断の見える化(品質マネジメント)です。リスクを抽出し、そのリスクに対する対策を検討していきます。

要求分析→機能設計→実現手段検討とプロセスを進めると、徐々に仕様が固まってきますが、それに伴い設計や製造におけるリスクも出てきます。重要な事はそれらをヌケモレなく抽出し、対策を明確化することです。iQUAVISのワークシート機能を活用することで、FMEAやDRBFMといった品質マネジメント手法につなげることができ、必要な帳票も半自動で出力できますので、不要な工数をかけずにリスク抽出と対策の検討が可能になります。

最後に業務の見える化(プロジェクトマネジメント)です。開発計画を立案し、進捗を管理していきます。

各種検討が進み、タスクを洗い出すことで全体計画を作成します。マネジメントから降りて来たマイルストーンに対し、iQUAVISで実施した課題対策検討、検証項目抽出から実施に必要な期間、リソースを合せて、現実的に遂行可能な日程計画を立案することができます。

このようにiQUAVISは、MBSEにおける重要なポイントである設計課題解決を1つのツールで実現できます。

「欧州最新事例とサステナブルMBSEの実践方法」のご案内

iQUAVISを活用したMBSEとその適用イメージについてご紹介しましたが、実際の設計開発業務で設計方針をシミュレーションなどで検証することも必要となります。また、MBSEを一過性の活動ではなく、持続的な活動にしていくためには、業務変化に追従し続ける柔軟性も必要となります。

11/28(火)の「実践できるMBSE」セミナーでは多くの企業が行っている流用開発・差分開発に着目したシナリオをご紹介いたします。開発プロセスによって異なる課題を、コンサルティング支援やシステムモデル作成、情報基盤構築など、iQUAVISはもちろん、ISIDの扱う様々なソリューションを組み合わせてどのように解決するのか、「欧州企業の最新事例」と共にご確認いただけると幸いです。ご参加お待ちしております。

  一括企画開発 新規機能追加開発 流用開発
要求項目・テスト項目 従来から変更となることがある 新規開発要素が含まれるため、従来から変更となることがある 従来から大きく変わらないことが多い(目標値の更新はある)
プロジェクト(PJ)規模 比較的小規模なケースが多いが、PJ数が多く、バリアント管理の必要もあり、開発関係者は百名以上に膨らむケースもある 比較的大きく、開発関係者は数百名規模になることが多い PJあたりの開発メンバは、多くて数十人程度
その他・特徴 過去資産をバリアントとして管理してプロダクトライン開発を適用している 各種規格対応、安全論証が求められるケースも多い 過去資産を活用した(マイナーチェンジの)流用開発が主体

まとめ

昨今の製造業の置かれている状況から、MBSEの必要性は以前にも増して高まっており、必須とも言える状況です。

ISIDは、MBSEを実現するための重要なツールとしてiQUAVISを活用し、お客様の真の課題解決をご支援します。


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