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ローコード開発定着による基幹システム刷新:東京エレクトロン様に見る実践的展開~

DXのトレンド(DXを加速するローコード開発の活用)

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、データとデジタル技術を活用して、製品やサービス、ビジネスモデルを変革することです。ローコード開発によりDXを加速するトレンドについて、背景から、ローコード開発が利用されているビジネス・プロセス、主な製品の特長や選び方、そして実際の事例を通して具体的に考察してみたいと思います。

【ローコード開発とは】

デジタル技術の活用に不可欠なITシステムを高速かつ柔軟に構築する開発手法です。ローコード開発プラットフォームと言われる製品を利用することで、従来膨大な時間とコストがかかっていたプログラム言語による開発(コーディング)を省略することが可能になります。
類似のキーワードで「ノーコード」というのもありますが、ローコードは必要に応じて通常のコーディングと組み合わせることで柔軟性と拡張性が高いのが特徴です。

【ローコード開発のメリット】

ローコード開発の主なメリットは以下の3点です。

  1. 少人数で短期間に開発することができる
    ITエンジニアを多く必要とした従来の開発と異なり、少人数かつ短期間で開発を行うことができます。
  2. 品質の高いシステムを開発できる
    コーディングに伴うヒューマンエラーや大人数で開発を行う事で発生するコミュニケーションミスを最小限にすることで品質の高いシステムを構築できます。
  3. 業務に必要なシステムを必要なときに開発できる
    少人数・短期開発の開発はビジネスの変革スピードに合わせて柔軟な開発を実現します。「先ずは小さく作ってみて、使いながら改善を加えていく」という開発スタイルを推進しDXを加速します。

【ローコード開発が注目される背景】

ローコード開発は、エンジニア不足の処方箋として、また、重要なデジタル競争力を手に入れるために必要なツールと考えられております。日本は少子高齢化が急速に進んでおり、経産省が実施した調査では、2030年にIT人材不足が約45万人まで拡大します。同じく経産省が作成したDXレポートでは、システムの維持管理費が高額化し、IT予算の9割以上を占めることになり、保守運用の担い手不在で、サイバーセキュリティや事故・災害による システムトラブルやデータ滅失等のリスクが高まっていることの警鐘を鳴らしています。今、ユーザー部門では、これまでの匠のレビューに頼り進めていた設計開発やトラブル解決を、ユーザーによる、ユーザーのためのシステム開発により、攻めの事前検証や迅速なトラブル解決につなげる、製造DXを加速させる事例が生まれてきております。

【ISIDが考えるDX領域におけるチェーン俯瞰図】

ISIDは、デマンド、エンジニアリング、サプライ、そしてサービスの4つのプロセスチェーンをつなげることで、同時に、デジタルツールを用いたデータの利活用の拡大・迅速化により生産性を向上し、新たな付加価値を創出することができると考えております。

【DXにおけるローコード開発の活用と選択のポイント】

維持コストの高いレガシー基幹システムに修正を加えずに、ローコード開発アプリでインターフェースをとり、アジャイルに短期間、低コストでアプリケーションを作り、運用に乗せることが、DXにおいて重要であると考えております。そのためには、システム連携の領域と開発のしやすさで選ぶこと、そしてシステム機能要件やセキュリティー要件を事前整理しておくことも重要となります。エンドユーザーを教育する体制や開発事例のユーザーコミュニティーでの共有なども考慮しておくとよいとも考えております。

【ローコード開発製品比較】

以下に、ISIDが考える主な製品比較をまとめます。

また、ISIDの以下の関連サイトもご参照ください。

東京エレクトロン様のローコード開発

東京エレクトロン様では、事業を支える基幹システムのSAP S/4HANAとその周辺システムとのデータ連携やアドオン開発などに、ローコード開発プラットフォームを導入しました。ローコード開発の具体的な取り組みや成果について、また、ローコード開発の全社普及と生産性向上についてまとめられた上記のサイトの事例紹介をどうぞご参照ください。

参考文献

ローコード開発プラットフォーム製品選定のポイント大公開
ローコード開発ソリューション
東京エレクトロン様との事例

まとめ

今回ご紹介いたしました東京エレクトロン様の事例のように、ローコード開発を有効活用し、各業務プロセスやチェーンにおける作業を効率化することによって、保守費用の増大を回避し、利益を稼ぐための「攻めのIT投資費用を創出する」ことができるのです。そのためには、まず、基幹システムでカスタマイズや加工される情報を整理し、あるべきデータの利活用モデルを検討することから始めるDXが重要であると考えております。

ISIDは、30年以上に渡り、CAD/CAM/CAE、ERP、人事などのITツールのご提供を通して、お客さまの業務改革をお手伝いさせていただいております。ローコード開発によりシステム開発を大きく変革させ、自社のDXを進めたいと考えている方は、ぜひISIDにご相談ください。ローコード開発の最新状況をご説明させていただきますとともに、お客さまのデジタル・トランスフォーメーションのお手伝いさせていただきます。皆さまがDX推進シーンで成功されますことを心よりお祈り申し上げます。