2025年7月17日に開催された「NETAPP INDUSTRY SUMMIT AUTOMOTIVE -自動車業界向けストレージソリューション勉強会-」において、当社は「HPC/CAE領域のクラウド化を加速する ネットアップソリューション活用術」と題して講演を行いました。本記事では、講演内容、そして自動車業界におけるストレージシステムの重要性についてご紹介いたします。
本イベントは、ネットアップ合同会社が主催し、自動車業界に特化したストレージシステムの最新動向を学ぶ場として開催されました。海外からNetApp Industry Specialistも招待され、グローバルな視点での事例紹介や、当社電通総研他、業界をリードする企業による講演が行われました。参加者は、ストレージ製品の選定ポイントや、ROI・コストパフォーマンスを意識したデジタル戦略のヒントを得ることができる内容となっていました。
自動車業界は今、100年に一度の大変革期を迎えています。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)やSDV(Software Defined Vehicle)など、技術革新の波が押し寄せる中、開発現場に求められるのは「スピード」と「柔軟性」、そして「安定性」です。従来の3次元CADによる設計やPLM基盤に加えAIやアジャイル開発のニーズが高まる中、取り扱うデータが今まで以上に大規模になり、その結果「高速性」「可用性」「拡張性」「コスト効率」といった多面的な要件が求められるようになりました。
当社の講演では、クラウド化が進むCAE(Computer Aided Engineering)解析環境における、マルチクラウド・マルチリージョン対応の重要性と、それを支えるNetAppの技術、弊社のサポートについて自動車業界での事例を踏まえて詳しく解説しました。
シングルクラウド利用には、クラウドプロバイダの障害やリソース不足、価格高騰といった課題がつきまといます。これらを解決するため、当社ではマルチクラウド化を推進し、柔軟かつ安定したCAE環境の提供を目指しています。
電通総研では、2012年からクラウドCAEサービス「PLEXUS CAE」を展開し、Azure対応など、クラウドHPC(High Performance Computing)環境の構築に積極的に取り組んできました。近年では、日産自動車様との共同事例に代表されるように、OCIやAzureを活用したマルチクラウド環境の構築を進めています。
講演の前半では、NetApp Keystoneを活用したマルチクラウド構成を紹介しました。Keystoneは従量課金制のストレージサービスで、外部データセンターと組み合わせることで、クラウドのような柔軟性を持つストレージ環境を実現します。AWS、Azure、OCI、Google Cloudといった複数のクラウド環境を専用線で接続し、ストレージの一元管理と拡張性を確保。ユーザーは利用を止めることなく、オンラインで容量拡張や保守が可能となり、運用負担を大幅に軽減できます。
後半では、NetAppのFlexCache機能を活用したマルチリージョン構成を紹介しました。特に、Azureの海外リージョンにおける高性能HPCリソース(Genoa-X)を活用するための構成に注目しました。FlexCacheは、オリジナルストレージとキャッシュを連携させることで、データ読み込みの高速化と一元的なストレージ利用を実現します。これにより、海外リージョンの高性能リソースを活用しながら、国内ユーザーの利便性とコスト効率を両立することが可能となります。
実際の日産自動車様での導入事例では、NetApp Keystoneによるストレージの安定性、拡張性、保守性が高く評価されています。外部データセンターとの専用線接続によるセキュリティと接続安定性も確保されており、当社が提供する「マルチクラウドデポジット」制度により、予算管理や運用支援も一括で対応可能です。これにより、開発現場の運用負担が大幅に軽減され、より本質的な業務に集中できる環境が整っています。
当社ではクラウドCAEの導入から運用までワンストップで対応します。
今後は、HPC領域にとどまらず、AIやSDV(Software Defined Vehicle)など新たな分野への展開も視野に入れています。NetAppとの連携をさらに強化し、より多様なニーズに応えるストレージソリューションの提供を目指してまいります。
今回のNETAPP INDUSTRY SUMMIT AUTOMOTIVEを通じて、自動車業界におけるストレージシステムの重要性と、マルチクラウド・マルチリージョン対応の最前線を多くの方にご理解いただけたと感じています。今後も、業界の変革を支えるIT基盤の進化に貢献し、皆様のビジネスに新たな価値を提供できるよう努めてまいります。
ご参加いただいた皆様、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
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