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ものづくりの楽しさと、企業の競争力向上の両立(第二報)

ものづくりの現場が抱える課題は、現在多くの企業にとって避けて通れないテーマである。前回の記事では、現場の活力が失われつつある現状と、それがもたらすリスクについて述べた。今回は、企業の競争力を高めながら、ものづくりの楽しさを取り戻すための「チャレンジを促進する組織づくり」について考察する。

顧客企業の声から見えた課題

前回の記事を受けて、いくつかの顧客企業にインタビューを実施した。その結果、多くの企業が現場の活力低下に共感を示す一方で、特に注目されたのが「チャレンジができる環境の有無が組織の活性度に大きく影響する」という点であった。

新しいことにチャレンジできる環境が整っている組織は活気に満ちている。しかし、以下のような理由でチャレンジが阻害されるケースも少なくないようだ。

  • チャレンジを求められない部署への配属
  • チャレンジが評価に反映されない
  • マネジメントのレビューでアイデアがつぶされる
  • 周囲がチャレンジを応援してくれない

こうした状況では、若手・中堅社員がチャレンジを諦めてしまうことがある。
この問題を解決するためには、チャレンジを促進する仕組みを整えることが重要である。

いかにしてチャレンジを促進するための仕組みをつくるか

チャレンジを後押しする組織を作るには、以下の4つの仕組みが必要である。
下記の仕組みは相互に関連しているため、4つセットで実施することが重要である。

  1. チャレンジの動機付け
    社員一人ひとりが「やりたいこと(ビジョン)」を明確に持ち、それを実現するためのスキルや手段を得られる環境が必要である。
    例えば、提案力を高めるための研修やスキルアップ支援が有効である。また、そもそも「チャレンジが求められている」というメッセージをマネジメント層から発信することも重要である。
  2. チャレンジの評価

    チャレンジを適切に評価しないと、「手を挙げた人が損をする」という風潮が生まれかねない。人事評価だけでなく、周囲からの承認や称賛も重要である。チャレンジを評価する文化を醸成することが求められる。

  3. チャレンジの組織的な育成

    チャレンジを推奨するだけでなく、それを実現するためのリソースを提供することが重要である。
    また、リスクを許容し、困難に直面した際に周囲が協力する文化を育むことも必要である。

  4. チャレンジの展開
    他の社員のチャレンジが見える化されることで、個々のチャレンジ意欲が高まる。成功事例だけでなく、悩みや失敗も共有できる場を作り、気軽に仲間を増やせる環境を整えることがポイントである。

施策の方向性

チャレンジを促進するためには、「見える化」「仕組み化」「スキルアップ」といった具体的な施策だけでなく、失敗を許容し、チャレンジを歓迎する「組織風土改革」が不可欠である。
特に製造業では、経営層がチャレンジを求める一方で、現場ではトラブルを避けるためにリスクを排除する傾向がある。このギャップを埋めるためには、アイデアの段階でつぶされない仕組みや文化を作ることが課題となる。

電通総研が提供する支援

電通総研では、以下のような支援を通じて、企業のチャレンジ促進をサポートしている。

何にチャレンジをしていくか明確にする ・イノベーション/インキュベーションコンサルティング

チャレンジするためのスキルを身に着ける

・人材育成(対面研修・動画講座)
・ゼロからモノづくりシリーズ
・AI人材育成サービス HUMABUILD
チャレンジを推進する組織風土に変革する

・MVV(Missin Vision Value)の社内浸透、風土変革支援 

チャレンジの余裕を確保する

・業務改革グランドデザイン
・各種効率化施策 

※ 本ブログの末尾に関連コラムおよび関連ソリューションを掲載しています

まとめ

ものづくりの楽しさと企業の競争力向上を両立するためには、社員が安心してチャレンジできる環境を整えることが不可欠である。そのためには、動機付け、評価、育成、展開の4つの仕組みを整え、組織風土を変革する必要がある。
電通総研では、これらの課題に取り組む企業を支援するためのサービスを提供している。
今後はエンジニアがチャレンジできる組織を包括的に支援するパッケージを構築していく予定である。
ものづくりの現場に活力を取り戻し、未来を切り拓くために、ぜひ一緒に考えていきたい。


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