電通総研では、SysMLに準拠したモデリングツールとして、ダッソー・システムズ社製のシステム設計ツールCATIA Magicを取り扱っています。本ブログでは、関連情報の整理やトレーサビリティの確保など様々な場面で役立つCATIA Magicの機能、Generic Tableについて御紹介します。
通常、製品開発は企画部門・設計部門・検証部門といった複数の部門を通じて行われます。効率的な製品開発を行うためには、上流の要求検討部門から下流の検証部門まで情報が繋がっており、様々な角度から情報を可視化できることが重要です。
しかし実際には部門間の連携が取れず(組織のサイロ化)、情報が一つの部門内で閉じてしまっているケースが多く見受けられます。このようなケースでは本来繋がっているはずの要求・機能・部品仕様・テストケースといった情報が繋がっていないため、各部門で同じようなデータを作成してしまう、部品設計や検証の目的がわからなくなってしまう、といった問題が発生してしまいます。
また、要求や機能の変更が生じているのに、その変更に気付かず従来機種の要求や機能のまま部品を設計してしまい手戻りが発生する、といったケースも発生しており、結果として多くの費用と工数を失う結果に繋がってしまいます。
このような問題を防ぐためには、部門の垣根を越えて情報を繋げ、確認できるようにすることが重要です。情報を繋げておくことで、上流部門で要求や機能が追加・変更された際、変更された要求や機能に対応した部品仕様やテストケースを確認できるようになり、結果として手戻りを減らすことができるようになります。
このような情報同士を紐付け構造化するためのツールとして、ダッソー・システムズ社製のツール、CATIA Magicがあります。
CATIA Magicを使うことで、要求・機能・部品仕様・テストケースといった情報から、必要に応じて組織情報やリソース情報まで繋げることができ、さらに繋いだ情報を引き出して可視化することもできます。
情報を可視化するための機能として、CATIA MagicにはTable機能(Generic Table)が実装されています。この機能を使うことで、情報同士の繋がりを辿り、必要な情報を抽出することができます。
ここからは、このGeneric Tableについてもう少し詳しく紹介していきたいと思います。
CATIA MagicのGeneric Tableでは、情報の繋がりを辿りながら、ある情報に関連した別の情報を表示させることができます。例えば以下の例では要求とテストの繋がりが要求ダイアグラムで定義されており、さらにテストには日程や担当者の情報が含まれています。Generic Tableを用いて情報を要求→テスト→担当者・日程と辿っていくことで、要求の繋がっている情報を一覧表として表示させることができます。
このような情報の繋がりを追うためにCATIA Magicにはメタチェインと呼ばれる機能が実装されており、この機能によって情報同士の連鎖を追うことができます。メタチェイン機能にはフィルタ機能なども含まれており、情報の連鎖を追うだけでなく、特定条件の情報だけを抽出するなど、細かい設定を使う事で必要な情報だけを抽出することができます。操作に慣れるまでに少し時間がかかりますが、慣れてくると非常に便利な機能です。
通常、上で述べたような要求・テスト・担当者・日程の繋がりを一覧表に出そうとすると、要求を検討している担当者やテスト計画を立てている担当者に聞きながら情報を収集しまとめていかなければなりません。このような作業には数時間から、場合によっては数日の時間が必要となることも多いですが、CATIA Magicを使用すると数分で作業を終えることができます。
Generic Tableは情報が繋がっていれば、その繋がりを辿り、用途に応じて様々な情報を表示できます。例えば管理職向けには日程やコストといったプロジェクトの進捗に関わる情報、現場のリーダークラスには不具合や設計開発の進捗といった開発情報、現場の担当者にはその日の業務情報といったものを、必要に応じて提示することで、様々な側面から業務を効率化することができます。
またGeneric TableにはExcelとの連携機能が実装されており、指定したExcelファイルへの情報の入出力を簡単に行うことができます。この機能を活用することで、必要情報をエクセルに出力してBIツールなどで加工し、CATIA Magicに馴染みのない方にも提示することができ、活用の幅が広がります。さらにPowerPointのレポート機能でGeneric Tableを出力することで、簡単にレポートを作成することもできます。
さて、ここまでの説明でCATIA Magicの持つGeneric Table機能と、その機能を使用した情報の抽出・連携・活用について理解が進み、情報活用のイメージが膨らんだのではないかと思います。
他にも、CATIA Magicは様々な機能を豊富に有しています。今後も引き続き機能紹介を掲載していきますので、ぜひご期待下さい。
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