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ISIDがiQUAVISとCATIA Magicを扱う理由とは?

ISIDは、既に多くのお客様に活用いただいている開発の見える化ツールiQUAVISに加え、ダッソー・システムズ社製のSysMLに準拠したモデリングツールCATIA Magicの取り扱いも始めました。ISIDはなぜiQUAVISに加えてCATIA Magicを扱い始めたのでしょうか?
またこの二つのツールを活用することで、どのような効果が得られるのでしょうか?この記事ではその理由について説明していきたいと思います。

MBSEの実現を支援する二つのツール、iQUAVISとCATIA Magic

まずISIDが扱う二つのツール、iQUAVISとCATIA Magicについて簡単に御紹介します。

iQUAVIS

iQUAVISはISIDが開発した開発の見える化ツールです。技術ばらしツリーやブロック図、二元表、日程表を活用し、技術の見える化・判断の見える化・業務の見える化の三つの軸を連携させることで、開発の見える化を実現します。

iQUAVISは2006年のリリース以来、多くの製造業のお客様に活用いただいており、またお客様との協業を通じて進化を続けてきています。

CATIA Magic

CATIA Magicはダッソー・システムズ社製のモデリングツールでISIDは2022年からCATIA Magicの取り扱いを始めました。SysMLに準拠した様々なダイアグラムを活用することで、対象システムの情報を整理し構造化することができます。豊富なQuery機能を活用することで、情報の連鎖を追うことができ、必要な情報を必要なメンバーに提示することができます。

iQUAVISとCATIA Magicの導入で業務効率化を目指す

iQUAVISとCATIA Magic、この二つのツールを活用して業務を効率化するためには、業務に応じてこの二つのツールを使い分けることが重要と弊社は考えます。システム設計とサブシステム設計を例に、業務の特徴と適したツールについて御紹介します。

システム設計に適したCATIA Magic

まずシステム設計です。システム設計では、対象システム全体を俯瞰して意思決定することが求められるため、システム全体の要求・機能・物理を的確に把握する必要があります。また外部システムとの連携も考慮する必要があり、SysMLによる情報交換が求められることもあります。このような特徴を持つシステム設計には、SysMLに準拠してシステム情報を構造化できるCATIA Magicが適していると考えます。

サブシステム設計に適したiQUAVIS

一方でサブシステム設計では、システム設計で設定された各サブシステムの目標値を、QCDの制約の中で複数部署との連携を取りながら検討していく必要があるため、日程・プロセス・リソースや、品質のマネジメントが重要になります。また部署間での特性値の背反確認やDRBFMも重要となります。このような特徴を持つサブシステム設計には、構造化されたシステム情報を活用して品質マネジメント、プロセスマネジメントでの知見活用ができる、iQUAVISが適していると考えます。

ISIDがiQUAVISとCATIA Magicを扱う理由、それはシステム設計、サブシステム設計、それぞれに適した二つのツールを扱うことで、さらに効率的にシステムを開発できると考えたからです。

しかし、ただこの二つのツールを使うだけでは開発は効率化できません。ここからはCATIA Magicを使うシステム設計者と、iQUAVISを使用するサブシステム設計者を例として、二つのツールで開発を行う際の問題点と解決策について御紹介します。

ユースケース1:システム設計者・サブシステム設計者間の情報交換

まずシステム設計者・サブシステム設計者間における情報交換のユースケースについて紹介します。このユースケースでは以下の業務を想定します。(*カッコ内は業務担当者)

  1. システムに変更が発生
  2. システムの構成検討(システム設計者)
  3. サブシステム設計者に「テストケース」や「目標値」といった情報を展開(システム設計者)
  4. 情報に基づいてテストを実施し目標達成・未達を評価(サブシステム設計者)

この業務では、「サブシステム設計者がテストを完了しきれない」、「サブシステム設計者が自身の範囲の評価だけで設計完了してしまう」、といった問題が発生し、変更点の影響を確認しきれず後段で手戻りが発生してしまうことがあります。何故このようなことが起きてしまうのでしょうか。

一つ目の理由として情報伝達が人依存であることが挙げられます。システム設計者はサブシステム間の整合を考慮して情報を伝達しようとします。しかし情報は口頭やメールで伝達されるため、抜け漏れや認識違いが発生してしまいます。また実施目的や背景も口頭やメールで十分に伝えることは難しく、認識の齟齬が発生してしまいます。

二つ目の理由としてデータ変換にかかる工数の問題が挙げられます。CATIA Magicで構築したモデルの情報を手作業でiQUAVISに書き写す場合、膨大な工数が必要となります。そのため予定していた検討をやり切れなくなってしまいます。

これら二つの問題を解決するため、我々はCATIA Magicで定義したシステムモデルをファイル形式で出力し、そのままiQUAVISに取り込み活用することを提案します。

この方法だと情報の抜け漏れを防ぐことができ、伝達に必要な工数も大幅に削減できます。これにより効率化を図り、余裕を持った設計・テストの実施が可能となります。

ユースケース2

次に製品のI/F整合のユースケースについて紹介します。このユースケースでは以下の業務を想定します。(*カッコ内は業務担当者)

  1. サブシステム設計者へ設計方針を提示(システム設計者)
  2. 方針に沿って設計(サブシステム設計者)
  3. 設計結果情報をシステム設計者に提供(サブシステム設計者)
  4. 情報を統合してインターフェースの整合を担保し、出図(システム設計者)

この業務では「全てのインターフェースの確認をやり切ることができない」といった問題が発生することがあります。各サブシステムから収集したiQUAVISの情報を、システム設計者は手作業で長時間をかけて転記しようとしますが、インターフェースの数が膨大なため正しく転記しきれず確認がやりきれないのです。

こうした問題を解決するために、我々はiQUAVISで作成した要素ブロック図をファイル形式で出力し、CATIA Magicに取り込むことを提案します。

サブシステム間の相互アイテムの設定など最低限の作業は必要となりますが、ポートの情報などは保持されるため、転記の間違いや、転記工数の増加といった課題は解決でき、効率化が図れると考えます。
さらに、内部ブロック図から、インターフェースに関する必要な情報だけを表形式で出力できるため、インターフェースの整合確認が劇的に行いやすくなります。

以上、CATIA MagicとiQUAVISの連携、活用に関する二つのユースケースについてご紹介しました。CATIA MagicとiQUAVISの連携はカスタマイズ開発でのご提供となりますが、両方のツールを扱い、提供できるISIDならではの価値と考えます。ISIDはこの二つのツールを活用することによる業務の効率化を今後も推進していきます。
*この二つのツールの連携、活用について興味のある方はぜひご連絡ください。


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