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管理技術、固有技術、汎用技術

メーカーが製品やシステムを開発して提供するために必要な技術として、図1に示すように、3つの種類の技術があることが知られています。「管理技術」「固有技術」「汎用技術」の3つです。それらの技術を、効果的に、連携・組み合わせて活用することが大切です。ここでは、エンジニアに直接的に関係が深い「固有技術」と「汎用技術」に絞って説明を加えます。

図1 固有技術・管理技術・汎用技術の三位一体

メーカーが提供する製品やシステムには、何らかの「技術」が組み込まれています。あるいは、そうした「技術」を用いて、製品の開発や製造が行われています。これらの、製品やシステムが持つべき性能を達成するための技術が「固有技術」です。製品やシステムにとって「固有(必須)」の技術であるということと、製品を製造する上で「固有(必須)」の技術であるということの、両方の意味を込めています。具体的には、機械工学、電気工学、化学工学、情報工学等、また狭い領域では、自動車技術、画像形成技術、高分子合成技術等が対応します。

メーカーが製品開発や製品製造で用いる技術には、もう1つの種類があります。上で述べた「固有技術」を生かして、適切に製品開発や製品製造を行うための技術です。具体的な技術としては、品質工学、FTA(Fault Tree Analysis)、FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)、DRBFM(Design Review Based on Failure Mode)、TRIZ(発明的問題解決理論)、QFD(品質機能展開)等がよく知られています。これらの技術は、対象である固有技術の種類に関係なく活用することができる技術であるという意味合いで、「汎用技術」と呼ばれています。本コラムで「手法」と言っているのは、「汎用技術」のことです。

汎用技術を、製品開発や製品製造等の商品化プロセスのどのような場面で用いるのかということの一例を、図2に示します。

図2において、中央部でサイクルとして示しているのは、いわゆる「悪魔のサイクル」です。このサイクルのどこかのプロセスで問題が発生すると、このサイクル全体がどんどん太くなり、その結果として、市場対策費の増大や新製品の販売不振等が起こってくることが知られています。

図2 悪魔のサイクルと汎用技術

例えば、工程品質が不安定で市場クレーム多発に繋がるということに対しては、発生する可能性のある市場問題を予測し、事前に開発や工程に対してその問題への対応を行う未然防止手法である「FMEA」や「DRBFM」を用いることができます。また、信頼性試験に人手がかかる、評価の質が低いということに対しては、「品質工学」を活用することで対応できます。効率よく開発設計を行うには、情報を使えるように整理するQFDや、課題として発生する矛盾問題や機能問題の解決策を考えるためのTRIZを使うことができます。

つまり、前述の各種の汎用技術(手法)を、問題や課題の状況に応じて適切に活用することで、「悪魔のサイクル」を断ち切ることができるということです。

参考文献:
ものづくりプロセス革新のススメ:熊坂治 第67回科学技術者フォーラム交流会、2015年
進化型QFDによる技術情報の"使える化":岡建樹、奈良岡悟(日科技連出版社)2019年2月刊行

本記事は、201910月から202112月に掲載された岡建樹が執筆したコラムを再編成したものです。

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